掲載情報 2006.06.19 : 朝日新聞

ブライダル産業花盛り ニーズの多様化に対応

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掲載記事

ブライダル産業花盛り

新婚カップルの人気旅行先として70年代前半に一大ブームが巻き起こった県内で、 結婚産業が花盛りだ。
大手、地元の出版社から相次いで結婚情報誌が創刊され、 ブライダルコーディネーターを養成する専門学校では、卒業を来春に控える1期生が 業界から引く手あまた。
背景には結婚式の多様化と、県内で開業が相次ぐ 「ハウスウエディング」施設の存在がある。(永井真紗子)

地元密着の情報誌続々・「専門家」人気
二ーズの多様化に対応


地域情報誌「タウンみやざき」を発行する鉱脈社[宮崎市)は4月、 年3回発行の結婚情報誌
「J・uno」を創刊した。
A4判114ページで500円。結婚をつかさどる女神の名に、 イタリア語で1を表す「uno」をかけたネーミングで、 「自分たちだけの結婚」にこだわった。
体形別ドレスの特集では、掲載した40種すべてを県内で取り扱われている 商品に限るなど
「地元で手に入る、使える物や場所」の情報に力を入れた。
カップル14組の実例集では挙式日や出席者数、衣装や料理も細かく紹介した。
反応は上々で、初版1万部は売り切れ書店が続出。
同社営業部の日高七菜子さんは
「きめ細かさで大手に対抗する。 関東からの問い合わせもあり、県外在住の出身者にも選ばれる誌面を目指したい」 と意気込む。
鹿児島市の書店にも置いて誘客を図るほか、 タウンみやざきとも連動させて情報の鮮度を保つ。
情報誌大手のリクルート(東京)の「ゼクシイ」も4月、これまでの 「九州版」を5エリアに分冊し、「宮崎・鹿児島版」として新創刊した。 7500部発行(公称)の月刊誌で、A4判370ページ,300円。
九州全域の情報や全国アンケートにページを割き、インターネットや 通信販売で買える製品情報にも力を入れた。
同社は「婚礼市場の成熟に合わせて分冊化した。新しく豊富な情報で選ばれたい」 と言う。
宮崎市高千穂通2丁目の宮崎マルチメディア専門学校で来春、 ビューティープランナー科
(2年課程)の1期生13人が卒業する。
同科は日本ブライダル事業振興協会の県内唯一の認定校で、 認定資格「アシスタントブライダルコーディネーター (ABC)」の受験資格 を得られる。
式の企画や進行、雑貨製作などを多岐にわたって学ぶほか、ブライダル 施設での実習にも積極的に取り組んでおり、業界の需要に合致している。 すでに5人の1期生が就職先を決め、残りも複数の内定を得ている。
井手脇道子科長は「知識と接遇の両面から指導している点が評価されて いるようだ。式のあり方が多様化し、県内にハウスウエディングの施設が 増えていることも需要増の一因」と分析する。
しかし、結婚するカップルが増えているわけではない=グラフ。
90年ごろを境に、人口千人当たりの婚姻数は5・6〜5・2組と大きな変動はなく、 全国平均より少ない状況が続いている。
平均初婚年齢は04年で男佐28・4歳(全国比マイナス1・2)、 女性27・2歳(同マイナスO・6)と全国より若いが、 晩婚化は緩やかに進んでいる。
迎えるハウスウエディング施設は、県内でもステッサ(宮崎市)や グランドパティオ都城(都城市)、ガーデンベルズ延岡(延岡市)などが続々 と誕生。年内にも県内外資本の2社が新設を予定している。
結婚情報誌を集めた「ブライダル図書館」を運営するウェディングM の小林久晃社長によると、金をかけて盛大にという組と、こぢんまりと やりたいという組に二極分化している。
小林社長は「施設は形態や建物の新しさがカップルの目を引いているが、 ホテルも様々な企画を打ち出しており、市場は飽和に近づいている。
適正価格で利益を出し、施設に再投資できるところが生き残っていくだろう」 とみている。

ハウスウエディング
チャペルやレストランなどを併設する 一戸建て型の専用施設で挙式するスタイル。
一日の受け入れ組数が限られるため費用は割高になるが、 きめ細やかなもてなしができ、招待客との距離が近い 披露宴になることから「お金をかけても盛大に」という カップルに人気がある。

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